第2部シエラネバダ
 第1章 ハイシエラの夏(4)
  6月5日 KennedyMeadow〜6月18日RedsMeadow


6月13日(金)
 6時起床。朝食はラーメン。/7時30分出発。MotherPassへのトレイルはやはり半分埋まっていた。崖をよじ登る。/8時30分、MotherPass着。下りは半分凍っていてやや緊張するが無事下りきる。/ゴールデンステアケースの長いスイッチバックを一気に下る。12時40分、DeerMeadow。長い下りと長い登り。/ここ2日間誰にも会わない。黙々と歩き続ける。/16時20分、Bihop Pass Trailの分岐。ここからどれだけ稼げるかが明日のハイクを分けると考え、気合を入れなおして歩く。/18時15分、丘を登りきったところでキャンプするか迷うが、当初の予定通り最初の湖の流れ出しまで歩くことにする。/が、これが裏目。険しく、キャンプサイトを探すのに苦労する。/19時キャンプ。すでに日も落ちて寒い。最後の渡渉がしんどかった/・・・・Today 18.5Mi Total 829.1Mi

残雪のシエラの歩き方その1。残雪量の情報収集。残雪量は年によって大きく違う。冬の間の降雪量と、その後の気候による溶け具合の組み合わせは毎年違う。データはインターネットでも得られるほか、レンジャーステーションやケネディミドゥの小屋などで得ることが出来る。目安としては、ヨセミテ国立公園を通る自動車道、タイオガ・ロードの開通時期(黒部アルペンルートみたいなもの)によって判断できるかもしれない。これを知っているかいないかで、大きく心の準備が違ってくる。
 その2。残雪の歩き方は万国共通。朝は凍っているし昼前になれば腐りだす。凍った斜面を登るのはまだしも、確保も無しに下るのは命がけだ。かといって、腐った雪を登るのも、腰まで沈みながら下るのもとてもしんどい。僕がたどりついた結論は、「峠は朝越える」。ちょうど下りだすころに雪がいい感じに柔らかくなってくるというのもあるが、キャンプのできない峠周辺で日が暮れだす焦燥感は恐ろしい。時間の余裕は安全にも繋がる。
 その3。残雪のシエラを楽しみたいなら、スルーハイキングをあきらめろ。フルパッキングで、天狗のように走り抜けてしまうのは、あまりにもったいなさすぎる。それほど、6月のシエラは美しい。

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この看板(標高10400フィート、約3000m)より上の地点では焚き火禁止。樹木の少ない高山地域では焚き火が自然環境に与える影響は極めて大きい。
ハイシエラの夏の空。こんなところで夏休みを過ごしたい。(って2回も過ごしてしまったが)
こんな山の中でもトレイルはきちんと整備されている。WoodsCreekの急流にかかる吊り橋。昔このあたりで吉田さんたちとすれ違った。
ピンショット・パス。毎日ひとつづつ峠を越える。ここだって標高3600mを越えている。
出発前に餞別にもらったサングラス。これもだいぶ似合ってきた?
まだ半分凍るレイク・マージョリー。
トレイルは雪の下。あてずっぽうで先の峠を目指す。UpperBasin。
UpperBasin.でのキャンプ。ここしばらく誰にも会っていない。
奥に見えるのがマーサー・パス。明日の朝越えよう。今日は早めにキャンプ。
こんな広いところに、僕ひとり。これを幸せだ、と思える人、いますよね。
6月13日朝。マーサー・パスより。来し方を振り返る。ここの景色はこのトレイルの中でも1,2を争う絶景だと思う。
ここからの下りはちょっと怖かった。
残雪はこうして波打つように少しずつとけていく。スノーキャップとよばれるこのくぼみのとがった部分をそっと踏んで歩く。
パリセード・レイク湖畔を下る。トレイルは顔をだしたりださなかったり。
ゴールデン・ステアケースの下りから。氷河が削ったのだろうか、カールした深い谷が広がる。

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