第2部 シエラネバダ
第1章 ハイシエラの夏(5)
6月5日(木)Kennedy Meadow〜6月18日(水)RedsMeadow
6月14日(土)
5時45分起床。寒い。ラジオをつけてドライカレーの朝食。/用を足していたら、誰かが川を渡る音がする。/7時20分出発。最初のひとのぼりをしたところで、石部さん夫妻、Freefallと会う。ここで会うとは思っていなかった。マサさん、トモさんとも好感の持てるひと。確かに、マサさんのほうはやや不思議な感じがあるが。/4人でMuirPassを登る。石部さんたちは早い。/10時、MuirPass着。今年はまだあまり人が入っていないようだ。/10時半、Passを下りる。雪がぐさぐさに腐っていて苦労する。しかし石部さん夫妻は本当に早い。/今日は一日、二人とご一緒させてもらうことにする。/Evolution Creek渡渉、スイッチバックを一気に下って18時過ぎキャンプ。一緒に焚き火をしていろいろと話す。/どうやら雪のために山をでたりはいったりしていた様子。これで追いついた。/月曜VVR,翌月曜TuolmneはFix。あまり余裕は無い。/・・・/ま、負けられないなあ。Today 16.0Mi Total 845.1Mi
『今年、もう一組の日本人チームがPCTを歩くらしい』という情報は、出発前から耳にしていた。出発直前には、ご本人からメールを頂いていた。正直に言ってしまおう。『これは、負けられない』と思っていた。PCT踏破を目指す動機のひとつは、やはり、まだ日本人は誰も踏破していない、という事実だったからだ。石部さん夫妻はそんなことぜんぜん思っていなかったかもしれないが、僕は、お二人が踏破して、僕が途中でリタイアする、なんてことは絶対に認められないと思っていた。もちろん、お二人のほうが2週間以上先にスタートするのはわかっていたので、追いつくことは出来ないかもしれないと考えてはいたが、それでもやはり、どこかで追いついてみせる、とは思っていた。街のレジスターに記帳するたび、石部さん夫妻の通過日時を確認し、『○日差か・・』と数えていた。
今となってはつまらないことだし、当時もそんなことにこだわることの価値についてはいろいろ考えていたけれど、気になっていたのは確かだ。それだけに、この日お二人に追いついたのは驚きだった。というよりも、それにもまして、これは嬉しい出来事だった。追いつけたことではなく、同じ遊びを楽しむことができる日本人に出会えたということが、だ。