第2部シエラネバダ
 第1章 ハイシエラの夏(6)
  6月5日(木)KennedyMeadow〜6月18日(水)RedsMeadow


6月16日(月)7時過ぎ起床。昨晩はビールを飲んですぐ寝てしまったので、日記が書けなかった。ヒゲを剃って朝食をレストランで取る。石部さんとオーダーを間違えられる。/朝食後から一服。洗濯機を回す。/朝の船でDNA登場。マウンテンデューを飲みながら葉書を書く。/昼食はチーズバーガー。RedsMeadowまでの食料を買う。/14時、パットおばさんのフルーツパーティーにお呼ばれ。いい人だ。/再び葉書を書く。/石部さんとこのハイクについて話す。(というか一方的に語る)/何かしら、自分のスタイルを持たないと、この旅を続けていくことは出来ないのではないだろうか。ここまでは、「今までのスタイル」うぃ保持することにこだわっていたけれど、石部さんたちにも追いつけた今、それを変えてもいいのではないだろうか。/そう考えると、急に新たな目標が出来たようで興奮してくる。/DNAから、悲しいニュースを聞く。モハベのWhiteMotelで、Nioが自殺したという。PCT2回目の挑戦で、またもこのシエラにたどり着くことなく、命を絶った(僕がチェックアウトした翌日らしい)ことがショック。何があったのか分からないが、想像したくない出来事。本当に悲しいニュースだった。/やかましいHappy登場。癇に障る。/DNAと二人でワインを2本空ける。ピスタチオが美味。/夕食はポークチョップとトラウト、サラダ、ハイネケン。デザートのパイはさすがに食べられなかった。/22時、ふらふらになってテントへ戻る。/食べすぎ、飲みすぎで苦しく寝付かれない。軽い興奮状態で、パックウェイトを減らすために何ができるかを考え続ける。 Today 0Mile/Total 871.3Mi

 ハイシエラのオアシス、ヴァーミリオン・バレー・リゾート(VVR)。ハイシエラの中心部で唯一外界と接触できる(車で入ることのできる)場所でもあり、PCT・JMTハイカーにとってはこの上なく貴重な補給地である。LonePineの街から1週間余り、残雪の中無補給で4000m級の峠をいくつも越えてきた身にとってはまさにオアシスとしか形容しようの無いポイントだ。
 VVRには顔なじみのハイカーも集まっていて、2泊して体を休める。さまざまな話をする。全行程の3分の1を越えたところで、この日の思考は僕に大きな転機を与えてくれた。こだわることと、自分のスタイルを持つこと。固執することと自由であること。長くなるので、別のコラムででも書きたいが、この日を区切りに、僕のバックパッキング観は新たな段階に入ったのかもしれないと思う。つまり、いかに軽く・早く歩くということの楽しさに気づいたと同時に、自分にとってこの「歩く」旅が持つ意味、ひいては自分がこの旅にでた理由を一歩進めて考えるようになったということなのかもしれない、といまでは思う。

この日記を書き終える頃には、その答えはでているのだろうか。
VVRのキャビンにて。食料の補給にいそしむ。
VVRのストア前にて。レストランも併設。2日間で130$あまり散在してしまう。危険な店だが、レジスターには「きっとまた来る気がする」と書き残してきた。
雪のシルバーパス。残雪多く、標識は雪に埋もれてしまって見えない。
DNAとシルバーパスにて。いい年して陽気な奴である。彼とはこの旅の間中、よく一緒に歩を進めた。
TullyHallからLakeVirginiaへの登りより。標高が低くなると残雪も消えて初夏の装いである。
道標。
6月21日、サウザン・アイランド・レイクスにて。見よこの軽量化したパックを!レッヅミドゥーからマンモスの街に降りてパックその他を思い切って買い替えてコンパクト化を図った結果。軽さへの追求はこのあとも続く。
サウザン・アイランド・レイクス全景。シエラでも1,2を争う絶景ポイント。
バックに1枚。この旅のベストショットか?

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