PCT踏破記録データ編B・食糧データ
こんなものを食った


「PCTハイカーは何を食ってカナダまで歩くのか?」
これは歩く前はかなり不安でした。2000年のJMTの時は全て日本製のフリーズドライを持ち込みましたが、全行程分の食糧を事前に用意するわけにもいかず、まあ、現地でなんとかするかと割り切って出発したものでした。
同じ心配をされる方は結構多いと思うので、私が主に食べたものの記録を残します。

トレイルでの食生活はちょっと特殊です。一日30km近く歩くので、消費するカロリーも通常の倍近くになります。また、一杯食べたいのは山々ですが、食べる分は自分の背中に担がなければならないので、その分荷物は重くなります。重くなれば消費するカロリーは増えるし、膝への負担や一日に稼げる距離にも影響します。加えて、火を使うメニューは燃料が必要になりますし、水が少ない地域では、その使用量の多いメニューは不向きです。調理時間がかかるメニューも、先を急ぐPCTハイカーには悩みの種です。もちろん要冷蔵のものは運べませんし、野菜などの生鮮品も食べないとビタミン不足になりそうだし、アメリカの食品って健康に悪そうだし・・・と悩みはつきません。

そんなことを考えながら、街のストアに行くたびにいろいろ試行錯誤してみるのもPCTの楽しさです。

当初は朝+昼+おやつ+晩とにわけて食事をとっていましたが、旅を進めるうちに随時+晩御飯というスタイルに変わっていきました。最初はきちんと食事をとることがリズムあるトレイルでの生活を作る!と信じてこだわっていましたが、次第にそんなこだわりがなくなってきて、朝起きたらとりあえずバーを2本ほどかじり、そのあと2時間おきくらいに休憩+バー1本、夕食はメイン+スープ+お茶といった感じでした。

さあ、あなたのトレイルでのお気に入りは何でしたか?
イメージ 商品名・リンク コメント 評価
アルファ米
尾西食品
山屋ならみんなご存知、尾西食品のアルファ米。お湯を注いで15分ほどで炊き立てのご飯と見まごうばかりの白米が。一袋で2食分とされているが、軽く一袋食ってしまう。トレイルでは最高級品のひとつ。費用さえ考えなければ毎日でも食べたい。 ★★★★☆
フリーズドライ各種 ジフィーズ、マウントエイド、レガー等。ジフィーズのとりめしやすき焼丼、カレーの旨さは絶品だったが、今調べたらもう売ってない?アメリカでは手に入らないので日本から送るしかないが、費用がかかる。 ★★★★
インスタントラーメン各種
nisshinfoods USA)
写真は日清食品USAのブランド、トップラーメン。このほかにもMaruchanシリーズもある。インスタントラーメンはたいていどの街のストアでも手に入る。味もいろいろあるので試して見ると良い。オリエンタル、ビーフ味、ポーク味くらいが無難か。また、大都市の日系スーパーではチャルメラ等の日本製も比較的簡単に手に入る。
お湯を大量に消費するのが難だが、調理は簡単だし、温まるし、軽いし、安いのでトレイルでの定番メニュー。
★★★★
インスタントライス各種
UncleBen’s
アメリカのスーパーでよく売っているインスタントライス。味付きのものも多い。安いし、軽いが、日本の米と思って食べると幻滅する。お湯をいれて蒸すだけ。
お腹は膨れるが満足はできない。
★★
マック&チーズ
KRAFTFoods
アメリカの代表的な子供用の食事。マックとはマカロニの略。煮るだけと調理も簡単。鍋が汚れるが、カロリーも高く、軽いし安いしおいしい。旅の後半から食べ始めたが、お気に入りのひとつ。ポケモンバージョンも人気。 ★★★★
パスタ各種
The Quaker Oats Company
こちらもスーパーでは簡単に手に入る。牛乳で煮るのが本当らしいが、お湯で戻しても充分。いろいろな味があるので試すとよい。上記マック&チーズ同様、トレイルでは優れもの。 ★★★★
粉末マッシュポテト メーカーがわからなかったのでとりあえず雪印の商品画像ですが、お湯で戻すだけの乾燥マッシュポテトも簡単に手に入る。味があんまりしないので塩や、ハンバーガー屋においてある小分けマヨネーズで食べる。鍋一杯食べないとお腹が膨れない。湿気は大敵。 ★★★
コーンフレーク各種
kellogg's)
日本でも普通に売ってるコーンフレーク。粉ミルクと一緒に一食分をジップロックにいれておいて、水を注いで食べるだけ。冷たくて甘い食感は砂漠の朝ごはんにぴったり。お気に入りは砂糖をまぶしたフロスティのほか、レーズンブラン、イチゴの入ったスペシャルKなど。 ★★★
ベーグル各種
BAGEL&BAGEL
スーパーで一袋6〜8個入りで売っている。アメリカのパンやドーナツはなぜか賞味期限が長い。ベーグルは腹持ちがいいので2個も食べれば朝ごはんには充分。でも、すぐ飽きる。 ★★☆
ツナのパック
starkist)
ツナの缶入りではなくパウチ化されているもの。ラーメンの具などに重宝した。 ★★★
インスタントみそ汁各種
永谷園
日本人ならミソスープ。LA等の日系スーパーでも手に入るが、大してかさばらないので日本で仕入れて送ってもいいだろう。ドライタイプの方が軽いが、最近では売ってないらしい。 ★★★★
スープ各種
クノール
みそ汁ばかりだと飽きるので、スープ類はいろいろ揃えた。これも日本で買ったほうが良いだろう。たまごスープのほか、コーンスープ、わかめスープなど。 ★★★☆
パワーバー
powerbar.inc)
アメリカの代表的行動食、パワーバー。"Be Great"のキャッチコピーにしびれる。が、あまりの堅さにパワーを消費してしまいそう。個人的にはフルーツなどを混ぜ込んだ「パワーバー・ハーベスト」シリーズがお勧め。チョコバナナなど絶品。 ★★★
クリフバー
clifbar.inc)
PCTハイカーの立ち寄るストアなら大体扱っている行動食。その名の通りアウトドアスポーツ用に開発されたと謳う。袋裏面の開発史はプロジェクトXのよう。いろいろ種類もあって楽しい。おすすめ。 ★★★☆
スニッカーズ
マスターフーズ
「お腹が空いたらスニッカーズ」日本で食べるとちっとも美味しくないが、トレイルで食べるとこのボリュームが嬉しい。スニッカーズ・クリスプもたまに食べるとおいしい。チョコが溶けるので砂漠には不向き。 ★★★
グラノーラ・バー
naturevalley)
チョコレート系のバーとはまた違うシリアルバー。腹持ちは悪いがなんとなく野菜をとった気になる。 ★★☆
ミルキーウェイ
ミルキーウェイ
日本でもたまに見かけるスナックバー。個人的にはスニッカーズより好き。20cmくらいのビッグサイズもある。 ★★★☆
ポップターツ
ケロッグ社
比較的どこにでもある子供のおやつ。本当は電子レンジであぶって?食べるらしいが、そのまま食べてもいける。写真のストロベリーが個人的には好き。その他チョコシナモン味等がある。 ★★★☆
ビーフジャーキー&チーズスティック
Jack Link's)
トレイルでの貴重な動物性蛋白源。ビーフジャーキーとチーズがセットになったこの一品はかなり有難かった。概してビーフジャーキーは高いが、肉への欲求は尽きない。チーズもこれなら冷やす必要が無いし。重宝しました。 ★★★★
トレイルミックス各種 ナッツやらドライフルーツやらをいろいろ混ぜたものをこの国ではトレイルミックスと呼ぶ。お腹が減ったらつかんでボリボリ食べる。いいかげん飽きてしまったが。
スーパーによっては、自分で好きなものを混ぜて作ることもできる。
★★★
バナナチップス等ドライフルーツ各種 スーパーに行くと有機系ドライフルーツのコーナーもある。個人的にはバナナを油で揚げた?バナナチップとレーズンが好き。 ★★★
日本茶ティーバッグ
伊藤園
一日の行動を終えた後、一服のタバコと熱いお茶が何者にも変えがたい幸せだった。
アメリカでは伊藤園より山本山のお茶(海苔メーカーのはずなのに?)ほうが良く売られている。
★★★★
マルチビタミン 生鮮食品が取れないので、マルチビタミンを念のため摂った。6ヶ月間特に体に変調をきたさなかったのはこれのおかげだろうか。
プラスチックボトルに入ったものがいいだろう。
★★★
ハックルベリー オレゴン州・ワシントン州に入るとトレイルの脇に鈴なりになっている。美味しいが取るのにも手間隙がかかる。 ★★★
キャンディ各種 時にはキャンディなど口に含みつつ。アメリカの飴は舌に合わない。というか味覚がおかしくなりそう。日本から送ってもらったのが嬉しかった。 ★★★
こんなところでしょうか。思い出したらまた書きます。

ポイントは、@好きなものを食べること A同じものばかり続けて食べないこと Bいろいろ試してみること かと思います。アメリカのスーパーには日本と比べてトレイル向きの食品が結構あります。街での休日にはカートを押しながらいろいろ試してみてください。なお、西海岸のスーパーには、ボンズセイフウェイ(同じ系列か?)、アルバートソンラルフスなどがありますが、いずれも会員カードを発行していて、会員価格でお得に買えます。住所と電話番号さえ書けばその場で発行してくれるので、適当なところを記載し、上手に買い物するとよいでしょう。日系スーパーとしてはLAのMitsuwa(旧ヤオハン)が便利でした。また、小さな町では「PCTハイカーだ!日本から来た!」といえば割引してくれる場合もあるので挑戦してみてください。

別に毎食米を炊いたっていいし、毎日パワーバーだっていいんです。自分のスタイルを持つこと、それがPCT踏破にとって重要なことだった気がします。食事はその典型的なもののひとつです。

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