第1部 南カリフォルニア
 第1章 国境の壁(2) さあ、国境へ! 


2003年4月21日(月) ロサンゼルス〜カンポ
 4時半起床/トレイル用のウェアに着替えて出発。寒い。/グレイハウンドのターミナルはホームレスとメキの溜まり場で怖い。/北米支店さんに見送ってもらい、バスを待つ。/が、来ない。/結局2本遅れのバスに乗り、サンディエゴで乗り換える。/車中は爆睡/乗り継ぎは問題なく、El Cajon着。小さなターミナルで暖かい服装に着替え、ホットドッグを食べながら日記を書く。/シアトルから来たというPCTハイカー、パットとバスに乗る。定刻発車。/さらに乗り継ぎがあったがパットが親切に教えてくれた。無事Campo着/・・・

 北米支店さんのお宅で最後の準備し、出発の朝を迎える。ロサンゼルスからPCTスタートの街カンポ(Campo)へは、バスでサンディエゴ(Sandiego)〜エルカホン(El Cajon)〜カンポ(Campo)と乗り継いでいかなければならない。乗り継ぎについては事前にインターネットで調べ、グレイハウンドは予約を入れておいた。北米支店氏に出勤ついでに送っていただく。ロサンゼルスのグレイハウンドバスターミナルは、LAの中でも治安の悪い地域にあり、ショッピングカートに全財産を載せて歩いているホームレスや、いかにもな感じの麻薬中毒者が路上にたむろしているのがそこかしこに見受けられる。また、この国でバスに乗るのはクルマを持つことのできない低所得者層が中心ということもあり、このターミナルの乗客のほとんどは出稼ぎに来ているようなメキシコ人ばかり。彼らもまた山のような荷物を抱えて並んでいる。
 インターネットで予約しておいた6時40分発サンディエゴ経由エルカホン行き直行バスを待つが、時間を過ぎても該当するバスが来ない。チケットを発券してもらった際に指示された乗り場の前で待てど暮らせど、それらしきバスは来ず、2〜30分おきにサンディエゴ行きのバスが出て行くばかり。7時を過ぎたあたりでいい加減おかしいと感じ、カウンターで『この予約したバスはどうした』と聞くと、『あんた、El Cajonに行きたいの?それならとりあえず次のサンディエゴ行き乗って、そこで乗り換えなさいよ』とあっさり。何のための予約なんだか。
 
 仕方なく次のバスの列に荷物を並べて順番を確保し、目の届く位置のベンチに腰掛けてさらにバスを待つ。早朝から引越しのような荷物を抱えて歩くメキシカン達を眺めていると、一人のメキのおっちゃんに、ここ座っていいか、と話しかけられる。空いているのでどうぞ、と手で勧めると色々話し込んでくる。だんだん込み入ってきて聞き取りづらくなってきたので『ごめん、あんまり英語得意じゃないんだよ』と答えると、おっちゃんは片目をつぶって『心配するな、このターミナルにまともな英語しゃべれる奴なんて一人もいない』と言って笑っていたのが印象に残った。
 
 結局8時頃のバスに乗って、サンディエゴへ向かう。車内は英語とスペイン語のアナウンスが入る。フリーウェイにのったあたりから爆睡。サンディエゴ着のアナウンスで起こされる。天気は曇り。やや肌寒い。乗り継ぎもスムーズに行き、昼前に小さな乗換駅、エルカホンに着く。田舎のバスターミナルといったところか。ここで15時まで次のバスを待つ。カンポを通るバスは午前と午後の1日2本だけだ。小さな待合室で待っていると、同じようなバックパックを抱えた50過ぎのハイカーが入ってくる。一目でお互い、「あ、PCTハイカー」と感づく。
 彼の名はパット。シアトルから来たという。以前アパラチアン・トレイルを歩いているらしい。使い古されたパックがいい感じをだしている。

 パットと一緒にバスに乗る。車内で一心不乱にゲームボーイアドバンスをやっている女子高生をぼんやりと眺めつつ、17時前ようやくカンポ着。街というより集落と呼ぶのにふさわしい。1軒しかないお店の前にバスは停まる。雑貨屋の親父にキャンプできる場所を聞くと、うちの裏にテントを張っていい、とのこと。パットが今日のうちに国境へ行っておきたいと言う。僕は今日はこのままキャンプして、明日朝一でバックパックと共に国境からスタートしようかと思っていたが、一人だと写真を撮ってもらえる人がいないことに思い当たり、予定を変更し一緒に20分ほど歩いて国境を目指す。
4月21日(月)15時過ぎ。エルカホンのバス乗り場からカンポへ向かうバスに乗る。
参考リンク:
グレイハウンドバスホームページ http://www.greyhound.com/
エルカホンからカンポへ向かうSan Diego Metropolitan Transit Systemのホームページ http://www.sdcommute.com/
 (ルート888番か894番がカンポを通ります)

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