第4部オレゴン 森と湖の国で(4)
 7月29日(火)CA−OR州境〜8月20日(水)OR−WA州境


8月17日(日)
 6時過ぎ起床。Mt.Jephersonの朝焼けを見ながら昨夜の残りのピザで朝食。/石部夫妻に遅れること25分、6時45分に出発。やや荷物が重い。/肩にタコが出来て痛い。手拭いを当てて歩く。/すぐに石部さんたちに追いつきその後はほとんど一緒に歩く。30マイルを目指して着々と距離を稼ぐ。/13時過ぎ、Southboundの日本人、Fさんに会う。ワーホリで、カナダからスタートしてきたらしい。30歳。放浪型のバックパッカー。巨大な荷物だ。他にも日本人がPCTを目指していることを知り嬉しい。アドレスを交換する。午後はひたすら飛ばす。/最後の稜線からワシントン州の山並みが見える。/夕食はいただいたフリーズドライ。美味。/明日はいよいよカスケードロックだ。久しぶりの街。オレゴン州は長いが早かった。いいところだ。/ Today 30.1Mi Total 2132Mi

 僕らのように、PCTをメキシコからカナダへ歩くことをNorthboundと呼ぶ。これとは反対に、カナダからメキシコに向けて歩く場合をSouthboundと呼ぶ。この日出会った日本人、Fさん(トレイルネームは「Fuji」。普通なら富士山をイメージするが、りんごの方をよく尋ねられるらしい)もSouthboundでPCT踏破を目指すハイカーだった。
 一般に、気象・季節的な関係からPCTはNorthboundが圧倒的に多い。なぜなら、スタートする4月ごろではまだワシントン州のあたりは雪が深く、歩くのに適さない。また、カリフォルニアの砂漠は5月以降は暑くて歩けないし、水も涸れてしまう。そうした理由から、たいていのハイカーは南から北へ向けてPCTを歩いていく。(中には1シーズンでPCTを往復するつわものもいるが)
 Fさんの場合は、今年はシエラネバダの北側まで歩き、翌年残りを歩くということだそうだ。サンフランシスコあたりでバイトでもして食いつなぎ、雪が解けたらシエラの峰を越えるということか。石部さん夫妻も含め、酔狂な日本人4人がこのトレイルの一点で立ち話をしているという光景はかなりの偶然というべきであろう。いろいろな出会いがあるものである。

 Fさんが2004年にPCTを踏破出来たかどうかは分からない。ただ、ビザを持たずにカナダ国境を越えてきた(それって密入国なんじゃ・・・?)という彼が無事であることをただただ祈るだけである。

 オレゴン州496マイルは23日間で歩ききってしまった。一日平均約20マイル。トレイルはいよいよPCT最後の州、ワシントン州に入る。長いこの旅も、もうすぐ終わる。そしてこの記録を作成する作業も。

マウント・ジェファーソンをバックに。こうしてみると荷物はずいぶん少ない。
手ぶれしてますが。サウスバウンドの日本人、Fさん。今はどこの空の下だろう。
オレゴン州とワシントン州を隔てるコロンビア・リバー。この橋を渡ればワシントン州だ。Bridge of the Godと呼ばれる橋のたもとにて。

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